90℃のサウナで火傷しない理由はなに?なるほど聞いて納得!火傷のメカニズムと一緒に解説します。

なぜ90℃のお湯に手をつけるとあっというまに火傷するのに90℃のサウナには何分もいられるのでしょうか。

これって不思議じゃないですか?

液体と気体の温度の感じ方にどういった差があるのでしょうか。

100℃近いサウナでなぜやけどしないのか?

サウナで汗をかくと、さっぱりしていい気持ちになる。だが、サウナの中は90~110℃もの高温になっている。
90℃のお湯なら、ちょっと触っただけでやけどするのに、どうしてサウナでは全身を高温にさらして平気なのだろう。

ただし沸騰するお湯からでる湯気に腕をさらすと。一瞬で火傷します。
このこともでもサウナでは火傷をしないのは何故なのかが分かります。

サウナでは何故火傷をしないのか?この理由はいくつもあるんです。

まず、空気は水に比べて熱を伝えにくい、つまり「熱伝導率」の低い物質である。熱いお湯に触れると、
皮膚もすぐその温度になるが、空気だとゆっくり伝わるので、かぎられた時間ならやけどをしないんです。

しかも、体の周囲にある空気の層はあまり動くことがないので、周囲の温度が高くても体はすぐには熱くならないんです。
この厚さわずか数ミリの空気の層が、皮膚をしっかり守ってくれているんですね。

サウナの中ではじっとしているのが原則だが、歩いたりすると熱く感じますよね。
これは、皮膚を覆っている空気の層が乱れるためなんです。

サウナでかく汗も火傷しない理由

サウナでかく大量の汗も、皮膚を守ることに一役買っています。
そもそも汗には体温調節機能があって、かいた汗は皮膚を覆って水分の膜をつくります。

水は熱を吸収する力は大きいが、温まりにくい性質があるため、皮膚が高温になるのを遅らせるんです。
そして、かいた汗の一部は、高温の中でどんどん蒸発する。水が蒸発するときには、
周囲の熱を気化熱として奪うので、体の熱もどんどん奪われて皮膚が冷やされるんです。

湿度が理由!サウナの中は乾燥していて湿度が低い!

また、サウナの中は乾燥していて湿度が低いんです、湿度が低ければ熱を伝わりにくく、熱さにも耐えやすいのだ。
蒸気を満たしたサウナもありますが、、その温度は40℃ほどに保たれているんです。
通常のサウナで湿度が高かったら、たちまちやけどしてしまうだろう。

これが最初に言ったことです、湯気に触ると一瞬で火傷するとことなんですね。
ですから100℃のサウナのなかに水蒸気がイッパイなれば、全身が一瞬で火傷しています。

火傷のメカニズムって?

火傷とは、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか?

やけどを負うと、水ぶくれができたり皮膚がただれたりするということはご存知でしょうが、
なぜそんなことが起こるのでしょうか?

それは、皮膚のたんぱく質が変性するからです。

変性というのは、ざっくり説明すると細胞の分子構造が変化することです。

タンパク質は分子レベルで見ると複雑な三次元構造をしているのですが、
その一部が熱により変化して(壊れて)本来の機能を果たせなくなるのです。

ちなみに、火や熱湯に触れるなど、熱によりタンパク質が変性することを熱変性といいます。

ヤケド水ぶくれ

100℃の強力な熱風を当て続けたら、やけどしますよ。
試しにヘアドライアーの熱風を直接手に当て続けると、十秒くらいでやけどしそうになります。

サウナでやけどしない理由は、空気の比熱が小さく、体に当たった空気分子が、体に熱エネルギーを与えてすぐに冷やされてしまい、その冷やされた空気が温度勾配を持って体の表面を覆うことになるからです。

伝動熱は温度勾配に比例しますから、温度勾配が緩やかだと体に伝わってくる熱も緩やかです。

温度勾配が緩やかになる理由として、空気の熱伝導率が低い、というのも重要で、空気の熱伝導率が高いと、冷やされた空気がすぐに熱くなってしまいます。

サウナの椅子の上のタオルの上に座っても大丈夫ですが、これはタオルの比熱が小さく、熱伝導率も小さいからです。

もし、鉄の椅子に座ったら、比熱も大きく、熱伝導率も
大きいので、あっという間に大やけどします。

サウナでヤケドしないのは、熱伝導率の違いです。

サウナの90℃というのは空気の温度、熱湯の90℃というのは水の温度です。

熱伝導率というのは、熱の伝わり方を表す数値のことです。水と空気を比べると、
水は空気の25~26倍も熱を伝えやすいのです。
だから、熱湯の中に手を入れた瞬間に手の表面も90℃になってしまいヤケドするのです。

それに対して、90℃の空気の中に手や体をいれても、手や体の温度はたいしてあがらないのです。
ちなみに水だと80℃でヤケドしますが、空気だと数百度でも平気です。

その他の理由としては、サウナに入ってると大量の汗をかくからです。汗は瞬く間に皮膚の表面から蒸発して、そのときに熱を奪うのです。このことは気化熱と呼ばれます。
皮膚の表面に出来たこの冷たい空気の層が、サウナの熱から体を守るのです。

体を芯から温めて、血行を良くしてくれるサウナ。
温泉や銭湯に行ったら欠かさないという人も多いのではないでしょうか。

サウナの中には時計とともに温度計が設置していることがあります。80℃や90℃、場合によっては100℃を超えることも。
温泉は44~45℃くらいでもかなり熱いですし、もし100℃近い熱湯が手にかかったらやけどしてしまいます。
ではサウナがそんな高い温度でも大丈夫なのはなぜなのでしょう?

世界最高気温でもサウナには全然及ばない?

20年ほど前は真夏でも気温は30℃を少し超える程度でしたが、
最近は連日35℃なんてことも不思議ではないくらい暑くなっている日本列島です。

まるでサウナにいるようだと感じることもあるかもしれませんが、それでもサウナのように80℃なんてことはありません。

日本記録でも46.3℃(1923年9月2日に麹町区元衛町にあった中央気象台で観測、前日に関東大震災があった)。
世界記録でも56.7℃(1913年7月10日に米カリフォルニア州デスバレー国立公園で観測)。
サウナの温度に比べればまだまだ(?)の温度です。

冒頭に挙げた温泉や熱湯とサウナの大きな違いは、水か空気かということ。

80℃や90℃の水に触れるのと、90℃の空気に触れるのではまったく違うのです。
なぜなら、空気は水に比べて温度を伝えにくいから。言い換えると熱伝導率が低いのです。
熱湯に触れると皮膚はすぐに熱くなってしまいますが、
周囲の空気の温度が高くても皮膚がすぐに空気と同じ温度にはならないのです。

汗が体を守ってくれる!そのメカニズムは

ここで重要になるのがサウナの湿度です。
サウナに入るとむわっとした空気で湿気があるようにも感じられるかもしれませんが、
実は湿度は5~10%程度に保たれています。空気が乾燥していて熱伝導率が低いから、

100℃近い温度でも平気でいられるのです。逆に湿度がほぼ100%のミストサウナの場合は温度が40℃ほどになっています。

湿度100%で通常のサウナと同じくらいの高温だったらやけどしてしまいますからね。

さらにサウナに入ると汗をいっぱいかきますが、これも皮膚が熱くなり過ぎるのを防止する効果があります。

汗がバリアとなり皮膚を守ってくれることに加え、水分が蒸発する時に温度を下げる効果があるため、
体の熱を奪ってくれるのです。これは気化熱という現象で、夏場に打ち水をして温度を下げようとするのも同じく気化熱の効果を期待してのものです。

汗をたくさんかくということは脱水症状になりやすいので、
サウナを利用する前後にはしっかりと水分を摂取し、体調を整えるようにしましょう。

まとめ

サウナでは高温なのに何故火傷しないのか?
サウナでヤケドしない理由と、火傷に関するメカニズムを解説してみました。